不器用に生きてきた者のただの呟き
人の目が気になって仕方がない人生を送ってきた。
学生のときは勉強はそれなりにできないといけなくて、人を傷つけたり悪口を言ったりするようなことはしてはいけないと思っていた。
そうでないと人から愛されないと思っていたから。
そうでないと家族や友人に軽蔑される、見捨てられると思っていたから。
自分の限界がどこかわからなかった。
今考えると、限界なんて結構浅くって、何でもやればできるというのは盲信だったような気がする。
働いてからも考え方は変わっていなくて、人当たりがよくて愛嬌のある私自身の理想像を、自分で仮面を被って作ってきた。
でも、そんな一生懸命作ってきた自分を、他人から否定されるようになった。
どうすればいいのかわからなくなって、どんな自分だったら他人から嫌われないか、探して探して探して。結局、そんな自分像が見つからないまま、私が他人を否定するようになってしまった。私を否定する人にイライラするようになった。殴ってやろうか、と思う程。
こんなに一生懸命生きているのにどうして分かってくれないの。
こんなに一生懸命人に迷惑かけないように生きているのにどうして分かってくれないの。
こんなに一生懸命人に愛想を振りまいて生きているのにどうして分かってくれないの。
限界なんて目の前にあった。ぶら下がっていたのを見ないふりをしていただけで、私は昔から限界を突破できるように自傷行為をしていたくせに、今更何言ってんだって昔の私から言われたような気がした。
僅かに残っていた理性が「これでは駄目だ」と警告した。
メンタルクリニックの受診が救いになった。「うつ病」だと診断された。
私は心底安心した。
あの凶暴な私は、本来の私の性格ではなくて、病気だったのかと。
よかった。そんな最低な人格ではなくて。
病気が治れば普通の私に戻れる。温厚で、聖人君子とも言われた私に戻れる。
ただ、そんな簡単にうつ病が治らなくて、こうしてモダモダしてるんですけどね。
人はこんなことを言うと、私を最低だと非難するかもしれない。
でもね、こんなに頑張らないと生きていれない人間だっているんだよ。
私は、素面で生きられるほど強くないから、一生懸命作って、みんなに迷惑かけないように生きてきたんだよ。
そんな人間だっているんだよ。
できないのにできるふりして戦ってる人間だっているんだよ。
笑いたくないのに笑って過ごしてる人間だっているんだよ。
素直に自分を出せない人間だっているんだよ。
それを不器用だって言うんなら、私は最強に不器用な人間だ。
でも、こんなでも頑張って死なないで生きてきたんだよ。